巻頭言:主任司祭 晴佐久昌英「7年間の巻頭言」

7年間の巻頭言

主任司祭 晴佐久 昌英

 多摩カトリックニューズの巻頭言も、残すところあと1回となりました。ここまで7年間にわたり、82回分の原稿を読んでいただけたことを感謝します。遅筆の主任司祭に対する編集部からの心配そうな催促も、次回で最後かと思うと万感の思いです。
 カトリックニューズの重要な目的は多摩教会の全信徒の情報共有ですから、なるべく巻頭言も、主任司祭の目から見た、教会内の重要な話題を取り上げるようにしてきました。どんな話題を取り上げるかは、その時々の思いつきですが、それを7年分並べてみると、そこに、おのずとこの七年間が浮かび上がってきます。

 2009年度4月に転任してきた最初の原稿のタイトルは「はじめまして」です。「これからどんな『はじめまして』が待っているのか、わくわくしています」と、初々しく書いています。その後、5月の「天国の受付」、6月の「天国の入門講座」というタイトルが続くように、受付チームを作ったり、入門講座を始めたりと、人々を受け入れる教会にする工夫をし始めました。7月は「病床も聖堂」で病床訪問チーム発足、8月は「天国の応接室」で面談室設置、10月には「教会ショップ『アンジェラ』」で売店の設置と、毎月のように何かを始めています。
 10年度は、4月に「赤ちゃんは家族を元気にする」で34人の洗礼式の報告をし、「洗礼と聖体を中心とした共同体づくり」が実りを結んでいることを証しして、「来年の復活祭に向けて、新たなスタートです」と書いています。6月には「『多摩教会からのお誘い』をご活用ください」として、多くの人を教会に招くためのプリント発行を報告し、8月は「教会縁日へどうぞおいでください」で、聖堂でのバイオリンコンサートや納涼祭、バザー等のイベントを「一般の人々を神の御許へとお招きする何よりの好機に」しようと呼びかけています。
 11年度は、いうまでもなく東日本大震災の年です。震災の1週間後、3月号の「地は震えても天は揺るがない」で、「たとえ家族を亡くし、家を失い、放射能が降り注いでいる中でも、キリスト者は決して滅びないイエスの言葉に希望を置きます」「怖いのは地が震える事ではありません。私たちの心が震えて神を見失うことです。今こそ、神の愛に立ち帰るとき。地は震えても、天は決して揺るぎません」と書きました。その後、6月に塩釜、7月に釜石と宮古、8月塩釜、9月釜石、11月福島と、被災地の訪問報告が続きます。12月には、「福音の村」で、説教HPの開設が報告されています。
 12年度は、私の司祭25周年の年でした。4月号「さあその日をめざしてがんばろう」で写真詩集『天国の窓』について書き、5月号「『想定外』の25年」で、記念ミサの報告をしています。救いの普遍性について明確に語りだした年でもあり、6月号「天の救い地の救い人の救い」は、私にとって重要な概念ですが、この巻頭言が活字になった最初です。9月号「あなたはもう救われている」で、「閉じ込められていた『救い』の普遍化」について語ったラジオ放送が大きな反響を呼んでいること、10月号「十字を切る」では、普遍的救いについての私の本が出版されたことが、書かれています。
 13年度は、新教皇フランシスコについて新鮮な感動を持って書いているのが特徴的で、開かれた教会にしていこうという、積極的な内容が目立ちます。
 14年度は、心の病で苦しんでいる方々のことや、弱い立場にある人のこと、そのためのイベントなどが主な内容になっていきます。
 15年度は、インターネットの活用、教会合宿の効用、教会家族委員会の意義、聖劇ミュージカルの実りの大きさなどなど、具体的な教会活動が印象的です。

 こうして、7年間の巻頭言を振り返ると、それは、神さまが大きな恵みを与えてくださった、かけがえのない年月であったことが浮かび上がって来ます。みなさんとともに精一杯がんばった、幸いな日々でした。折に触れて読み返していただければ、幸いです。


( 晴佐久神父の今までの巻頭言は、こちら に一覧表があります。そこから読めるようになっておりますので、ご活用ください )