巻頭言:主任司祭 豊島 治「つながります」

つながります

主任司祭 豊島 治

 前号でもお伝えしましたが、私はカリタスジャパンの担当をしています。いまは全国の担当者の会議を運営する係をしていますが、前は自死のことについての部会にいました。幸田司教さまたちと一緒に執筆して小冊子をだしています。

 またその関係で、わたしはたまに福島県南相馬市の原町というところにも出かけていきます。CTVCカトリック東京ボランティアセンターが運営するボランティアベースがあるからです。6月1日でカリタス原町ベースは開設4周年になります。福島第一原発から25キロというところにあって、最初は屋内退避、それから緊急時避難準備区域というところに指定されていて、ボランティアベースを開くまでに震災から一年かかりました。20キロ圏内はずっと今に至るまで人が住めないままでした。今ようやく帰還がゆるされようとしているこの地域のそばのベースですので、家の片付けなどのボランティアのニーズがまだまだたくさんあります。
 原町教会はもともと信徒数の少ない教会でしたが、原発事故により、多くの人がこの地域を去ることになり、さらに信徒の数が減ってしまい、日曜日のミサに来る人は10人以下になっていました。司祭は何年も前から住んでいませんでした。でも今、司祭が定住していますし、そこにベースができ、四つぐらいの修道会のシスターも越してきて、毎朝、ミサが祝われています。朝のミサが教会であって、ベースでスタッフも含めて一緒に朝ごはんを食べ、その日の活動に出かけて行く。もともと過疎高齢化の進んだ地域でした。原発事故によってそれは更に進んでいます。警戒区域の指定が解除されてもどれだけの人が帰れるか分かりません。そういうお年寄りに、あなたは一人じゃないよ、と伝えるために出かけて行くのです。

 ミサからくるこうした力は普遍です。ミサに集まり、その中で神とのつながり、聖体をうけキリストとのつながり、そしてそこから出かけて行く。

 多摩教会において通常のミサでは多摩地区への宣教のきっかけとなったメイラン神父様からうけついだカリスを用いています。歩いて神奈川、多摩、埼玉に福音を伝えた宣教師メイラン神父の熱意が、多摩教会のミサからも発せられます。
 また、今後多くなることが予想される病者への聖体をお運びすることに関してですが、先日布告された規定に適合するため、希望の方は主任司祭への連絡をお願いすることにしました。その際、内容を説明し、専用の容器についての説明をいたします。

 どんなときも、キリストはミサという食事をわたしたちに残してくれました。神とのつながりを味わい、イエスとのつながりを深く感じ、人とのつながりを忘れない、すべての気持ちをこめて。