寄稿:「四旬節福島巡礼の旅」

= 寄 稿 =
四旬節福島巡礼の旅

マグダラの聖マリア 優(ペンネーム)

 巡礼二日目、星野神父さま、豊島神父さま共同司式の朝ミサに与り、朝食を終えて、8時に宿泊地磐梯熱海を出発した一行は、まずエネルギー館に向かいました。全員が下車し、排除ゼロキャンペーン用の写真を撮った後、『原発見学組』をそこに残して、わたしたち『海に向かって祈る組』は、津波被害の大きかった宮城県山元町へ常磐道を北上します。山元町 I.C.近くのレストランで4人が下車し、海岸で採れた魚介類を使った丼物 「ほっきめし」 を食べました。
 そこから車で5分ほどのビニールハウスのいちご園で、待っていた4人と合流し海岸へ。途中津波で流された山下駅跡を車中から見て、普門寺近くでバスを降ります。津波の高さを示す数字が壁に記された建物と、流された高齢者施設の方々の名前が刻まれた慰霊碑がありました。
 小雨が降る中、被災者に向けた十字架の道行を祈りながら、震災後新設された『避難丘』に登りました。そこから初めて見た海は濃い鈍色をしていました。どこまでも続く高い堤防と、何もない辺り一帯は異様な光景でした。海に向かう道の両側には防風林の垣と小さな松が植えられており、作業をしている数人の方がおられたので、声をかけると、3月11日の慰霊祭翌日に植樹祭が行われるので、その準備で土を入れ替えているのだと話して下さいました。
 堤防に登って見た海は美しかった。雨も止み、群青色に輝く海は本当に綺麗でした。この穏やかな海があの日、大勢の人をのみ込んだことを思うと涙が止まりませんでした。波打ち際で十字架の道行き、主の祈り、アベマリアの祈りを唱えました。
 早春の温かい日が射してきましたが、風は強く、手袋を外して祈りの本をめくる手が直ぐにかじかんでしまうほどの寒さでした。
 そこで見た景色、色、風、匂い、そして自然の脅威を忘れることはないでしょう。 神に感謝。

津波はここ(矢印)まで来た
津波はここ(矢印)まで来た
 
津波の高さを示す布製のオブジェ@防災センター
津波の高さを示す布製のオブジェ@防災センター
 
海に向かって祈る
海に向かって祈る