2016年5月号 No.513

発行 : 2016年5月28日
【 巻頭言:主任司祭 豊島 治 】


やりとげます

主任司祭 豊島 治

  4月14日、熊本で大きな地震がありました。最大震度7(益城町)があった二日後に同規模の地震が発生し、被災地では復興への気力が挫かれる状態が一時ありました。
 私は2009年にカリタスジャパンの教区担当に任命されました。カリタス・インターナショナルに属し、バチカンに本部があり165カ国が加盟しているものです。引き受けた当初は特に責務の大きさを意識することは正直ありませんでした。翌年2010年教皇様は「主の言葉」という勧告を発表し福音は宣言するだけでなく行動も伴うという旨のよびかけがなされました。

2011年の東日本大震災をはじめネパール、ミャンマー、熊本などそれぞれの被災地から「助けてほしい」という被害発生緊急メッセージが入るたびに、カリタス・インターナショナルからよびかけられ、世界中の教会が窮状をうけとめ祈り、物心両面の支えを各地の教会に要請するのです。近年その回数は増えています。

 東日本大震災のときからカリタスジャパンは、義援金の受付だけでなくボランティアの派遣・現場ニードの把握、ときには運営をするようになりました。
 同時期に「啓発部会」も改組設立され、命の大切さを啓発するなかで「自死」への取り組みをはじめました。教皇様のよびかけも力強い助けになっています。
 日本のカトリック教会は伝来当初から苦しむ人とともに歩み、教えられてきました。その600年の蓄積は阪神淡路大震災のときも、そしてその後につづく国内被災地援助のときも助けになったと考えます。

 5月9日、熊本震災のため熊本県菊池教会にボランティアベースがたちあがり活動がはじまりました。瓦礫撤去から心のケアの活動まで幅広く活動していると聞きました。東日本大震災被災地の各ベースも新たな展開を考えて進んでいくでしょう。現場主義を貫く貴重な組織です。

 カトリック教会は司教の呼びかけのもと一致して働きます。司教協議会傘下にあるカリタスジャパンから緊急募金のよびかけがありましたら原則2回の主日をつかって受付・送金をいたします。それ以降は個人で振込となります。

【 連載コラム 】


「荒野のオアシス教会を目指して」

一瞬の勇気で、一生の家族!
連載コラム「スローガンの実現に向かって」第65回
来週も頑張ろう!

南大沢・堀の内地区 山本 保子

 日曜日のミサ後に集まるカフェ・オアシスのメンバーは、実家に帰って来た姉妹のようだ。超しっかり者のお姉さんを柱に、ちょっと頼りないところがある妹たち。もちろん、私もその中の一人。この頃は甥っ子や姪っ子(若いメンバー)も加わり、総勢23人の大家族となった。
 一週間のうちにあったこと(失敗談が圧倒的に多い)を披露し合ってみんなで笑い、少し疲れている妹をさりげなく気遣い、遅刻常習犯やおサボり気味の妹に突っ込みを入れ・・・。コーヒーサービスをしながら、自分たちも楽しんでいる。だから、カフェ・オアシスが活動しているテーブルは常に賑やかだ。・・・うるさい、とも言える(・・・反省・・・)。

 また、この姉妹、食べることが大好きだ。お姉さんが作ってくれるおいしいお料理・折々の打ち上げに行われるバーベキューを囲むひとときをみんなが楽しみにしている。このおいしいご褒美は、コーヒーサービスを笑顔で行う元気の源にもなっている。 だがしかし、この姉妹、ただ楽しんでいるだけではない。団結した時の底力はちょっとすごい。それが特に表れるのは軽食当番の時。カフェ・オアシスが発足した翌年の2011年から5年間、第5週目の日曜日と8月の軽食を担当してきた。
 前日から準備を始め、当日の後片付けまでみんなが助け合い、日頃の主婦力を120%発揮して8月を過ごす。もちろん、この時のお台所でも笑い声が絶えることはない。 そんな笑い声と頑張りの中から生まれたのが、多摩教会に集う皆さんにご好評をいただいているタコ ライスや夏野菜カレーたち。「おいしかった」とあたたかなお声をかけてくださる皆さんから、私たち姉妹は大きな大きな力をいただき、「来週も頑張ろう!」と思う。
 このように仲良く賑やかに活動する姉妹に新たなミッションができた。コーヒーと紅茶が苦手でいらっしゃる豊島神父様にお出しする飲み物を何にするか?! 緑茶・手作りの柚子茶や梅シロップ・・・。ご様子を伺いながら1つずつ・・・神父様お気に入りの一品を見つけていく予定。 グリーンのエプロンを着けて「笑顔でコーヒーを提供する」という発足時からの精神を守りながら、カフェ・オアシスの様々な活動はこのスタイルでこれからも続く。
 主観に満ちた「カフェ・オアシス雑記」となってしまいました・・・。

 5年前の8月に初めて訪れた多摩教会でいただいた軽食は、カフェ・オアシス作の彩り豊かなお素麺でした。教会でお昼ごはんをいただくことにも驚きましたが、そのおいしさにも驚かされました。受洗と同時にメンバーに加えていただき、私の「多摩教会での居場所」ができました。受洗間もない信者にとって、教会に自分の居場所があることがどれ程心強かったことでしょう。仲間と軽食をいただきながら語り合えることで、どれ程励まされたことでしょう。「来週も教会に来よう」と思うきっかけの一つになりました。
 私にぴったりの居場所と、かけがえのない教会家族を授けてくださった神様に感謝。神様、私が与えていただいたように、私も多摩教会を訪れる方々にコーヒーや軽食を通して安らぎや励ましをお伝えできますよう、どうぞお導きください。 カフェ・オアシスが皆さんの心癒す「オアシス」となりますように。

【 お知らせ 】


「初金家族の会」からのお知らせ

 5月は聖母月、薫風に乗せて鶯の囀りが届く6日の初金ミサで豊島神父様は、この日のヨハネによる福音の『出産の苦痛もわが子の誕生によって心からの喜びに変わる』というたとえから「この世の苦難の時にも変わらず神様のハートが人間を慈しんでくださっているのです」と諭されました。

 ミサ後の初金家族の会は初参加の男性二人を交えて30数人が豊島神父様を囲んでの茶話会でした。遺書まで書いて命がけの高齢出産だった母上様に育てられた一人っ子の豊島神父様が、中学2年生のときに早くも聖職者への道をこころざし、何が何でも神父になりたかったことや、日本カトリック映画賞受賞作品「あん」に登場する福祉関連の施設とのかかわり、特に、辛い思いをしながら一生を施設で過ごす運命にあった病者を励ましながらの貴重な宣教体験など、心に響くお話の数々が相次いだ60分間でした。

 次回6月3日(金)にはイコン制作教室などでご活躍のフランスから一時帰国中のエルサレム修道会、シスター内海郁子さんを囲んでの茶話会を予定しています。
 次々と新しい話題のやりとりで信仰家族の絆を深める楽しい初金家族の会にどなた様もどうぞお気軽にご参加下さい。